表題の「微分方程式 \( f'(x)=f(x+1) \)」は超超基礎的な「微分方程式 \( f'(x)=f(x) \)」の一箇所だけを変えた方程式です。もちろん\( f'(x)=f(x) \)の解は、\( f(x)=Ae^{x} \)です。表題の式もこのノリで解いてみましょう。\( y=f(x) \)と表記すると表題の式は
\[
\frac{dy}{dx}=y(x+1)
\]
と表記でき、ここで、\( z=x+1 \)とおくと、合成関数の微分より\( \frac{dy}{dx}=\frac{dy}{dz}\frac{dz}{dx} \)なので
\[
\begin{align*}\frac{dy}{dz}\frac{dz}{dx}&=y(z)\\\therefore\frac{dy}{dz}&=y(z)\;\because\frac{dz}{dx}=1\\\therefore y&=Ae^{z}\\\therefore f(z)&=Ae^z\ \\\therefore f(x+1)&=Ae^{x+1}\\\therefore f(x)&=Ae^x \end{align*}
\]
んっ?!?!?!?!?!
「微分方程式 \( f'(x)=f(x) \)」の解と同じになってしまいました。もちろん、これは正しい式ではありません。実際代入してみると、\( f'(x)=Ae^{x},\;f(x+1)=Ae^{x+1} \)となり両辺は等しくありません。
※上記操作のどこが間違っているのかは依然として分かっていません。どなたか、どこが間違っているのか教えてください!
さて、\( f'(x)=f(x+1) \)は簡単には解けないことが分かりました。表題の式は超超基本的な微分方程式を\( +1 \)だけずらしていることがポイントですが、少しずらした値とそのときの傾きが等しいことを考えると、実は\( +1 \)を\( +\pi / 2 \)に変えた微分方程式の解について下式が成り立つことが分かります。
\[
f(x)=A\cos(x)\rightarrow f'(x)=f\left(x+\frac{\pi}{2}\right)
\]
実際、\( 左辺 = f'(x)=-A\sin(x) \)、\( 右辺 = f(x+\pi/2)=A\cos(x+\pi/2)=-A\sin(x) \)となり両辺は等しく成り立ちます。これをヒントにx軸でスケーリングするなど、\( +1 \)に関連する定周期の周期関数を考えればうまくいくかと思えば、、、これもうまくいきません。
私は「ただ\( +1 \)だけずれているだけで、値とそのときの微分の値が等しい関数なので、ネイピア数を底とする指数関数が関連しているだろう」と推測し、\( f(x)=Ae^{Bx} \)の形式で表題の式が成り立つ\( A,B \)を求めるアプローチとしました。
前置きが非常に長くなりました。以降で表題の式を一般化した次の微分方程式の解を導出します。
\[
f'(x)=af(x+b)
\]